第38話:不妊治療㉙世界一おいしいたらこスパゲッティ

不妊治療

結果発表!!
・・・の前に採卵結果も、まぁ・・・難しいのですわ。

受精卵のお話

まず、採卵した受精卵を培養する。
受精したら、分割を始める。 
だいたい2~3日で初期胚という状態になる。
さらに培養をすすめて、5~6日で胚盤胞という状態になる。
初期胚より、胚盤胞の状態で移植する方が、妊娠率は高い・・・

じゃあ、採卵したものは全て、胚盤胞を目指して、初期胚で凍結する必要はないのでは?
その通り!
・・・ただし、それができたらね。

胚盤胞まで無事に育って凍結できるのって、実は難しくて・・・
全胚で、胚盤胞を目指したが故に最悪全滅の恐れもある。
あれだけ頑張ったのに?
受精もしたのに?

そう。
採卵ができたからといって、受精するかもわからないし、それが分割するかもわからない。
なので、全滅を避ける為に、たくさん採卵ができたら、保険的に初期胚の状態で数個凍結することをすすめられる。

良好胚が凍結できたとしても、グレードはあくまで見た目の問題。
中の遺伝子に異常があれば、着床しないか、流産。
通常の妊娠でも(年齢にもよるけど)初期流産は15%程度と言われているけど、体外受精の場合は、通常なら淘汰されていたかもしれない胚に人工的なアシストが加わって、移植まで到達させてるわけだから、流産率は20%に上がる。

流産を繰り返してしまう、不育症という病態があって、これもまた原因は様々で、原因すらわからないことが多いんだけど・・・
受精卵の目に見えない遺伝的な異常を事前に検査する方法がある。
それがPGT検査
これは現在でも保険適用外で1つの胚を検査するのに20万程度かかる。
さらに、お金を払っても条件をクリアしていないと検査ができない。
流産1回では検査ができず、検査がしたければもう一度流産して下さいと言われる。
流産を防ぐ目的の検査なのに。

検査して異常が見つかって、流産の可能性が高いとわかって、その胚を移植しようと言う人はいないと思う。
だって、流産なんて好き好んでする人いないでしょう?
PGT検査が2022年度の改定でも保険適用にならなかった理由は、コレを命の選別だから・・・と。
違うでしょう?

賛否はあると思うけど、社会保障は万人に適用しない。
マイノリティのカバーはできないと思う。
これはもうストレートにマイノリティに尽力を注いでも票にならないから。
それに、限りある予算でなるべく多くの国民を豊かにしようとしたら、優先されるのはマジョリティになってくる。我慢しなくてはいけない人はもちろん出てくる。
全てをカバーできるわけではない。
不妊治療者でも、それ以外でも。

その中で、不妊治療の保険適用にしてくれたことは非常にありがたい。
保険適用にしろとは言わない。
でも理由が”命の選別だから”はないと思う。
撤回して欲しい。
できれば先進医療にして欲しい。(混合医療ができないため、PGT検査を行うと、その周期は全て自費診療になるし、助成金はでなくなったし、一部の人にとって保険適用は改悪。)
酷いことを言うけど、この一部の人にお金をかけるのなら、妊娠できそうな人にお金を賭けて、たくさん子どもを産んでもらった方が、少子化対策にはなると思う。政治的には。
私情としては、もちろん先進医療どころか保険適用にしたいけど・・・
私が政治家なら、私情で仕事はしないから、頑張ってもせいぜい先進医療が限界だと思う。
不妊治療に限ったことではなく、とっても難しい問題。

予算や資源に限りがあり、どんどん貧困化してきている。
使い道は、票や利己的な目的であって欲しくない。(最近の政治を見ていると酷いと思うことが多いが・・・)

受精卵のグレードは・・・?

話は、政治にまで発展し、持論をぶつけまくって、迂回したけど、続いて、採れた受精卵のグレードについて。
これがわかりやすいかな↓
受精卵(胚・胚盤胞)のグレードについて|評価のポイントを解説 | 木場公園クリニック 不妊・不妊治療専門 (kiba-park.jp)

私の通院しているクリニックでは、電話で受精卵の確認ができた。
まず、初期胚の時期に・・・

電話をかける時はめちゃくちゃ緊張した。
声も震えるし、手も震えた。
「培養しましたが、分割が進みませんでした・・・」
全然ありえる。

とりあえず、”初期胚は2つ凍結して、残りは胚盤胞の培養に進めます。”と。
グレードは・・・と、全部教えてもらったけど、頭が真っ白で何も考えられなかったから、必死でメモをとった。

受精卵のグレードは事前に勉強してたはずなのに、緊張で何がなんだか・・・
「それって、いいんですか?」と情けない質問をした。

「受精率100%で、初期胚も移植できるレベルの良好胚の凍結の凍結ができています。胚盤胞の培養に進む受精卵の数も多いし、良いと思います。」みたいなことを言われたと思う・・・が、後々グレードを調べたら、胚盤胞の培養に進む受精卵たちの途中経過のグレードはそんなに良くなく、喜んでいいのか微妙だった。
まあ、培養士さんも良いって言ってるし、よしとするか。そんな感じ。

後日にまた、胚盤胞の確認電話。
また、緊張。大丈夫、大丈夫。全滅しても初期胚がある!

最終結果
採卵数19個(うち1つ変性卵)
受精率100%→受精数18個→分割数13個→胚盤胞培養数11個(2個は初期胚凍結)→胚盤胞10個(1個は胚盤胞にならず)

初期胚 2個
7細胞 G3
4細胞 G1

胚盤胞 10個
5BA
4AA 2個
4BA 3個
4BB
3BA
G2
G1

たらすぱブログ

PCOSだから、採卵数は採れるけど、グレードは気になっていて・・・
これ、めちゃくちゃいいです。

不妊治療のクリニックに転院して、早1年強・・・
不妊不妊・・・
ダメでしたダメでした・・・
甲状腺が・・・
卵管が・・・
FT術をしたら・・・
人工授精したら・・・
成功体験が全くなくて。

賭けてきたものは丸々全部失ってきて・・・

初めての成功体験だった。
初めて努力が形になった。

その日は、卵の事を気にしすぎたのか、頭が卵のことでいっぱいで、夕飯はたらこスパゲッティにしました。
”食べれないとか、寝れないとかがあれば、精神科を受診した方が良い”とカウンセラーさんに言われて、精神科の薬まで追加されて妊活が滞るのだけはごめんだったから、詰め込むように食事を口にいれていた。
大丈夫。食べれるし、味もする。
そんな私が、コレが食べたい!と思ったのは、久しぶりだった。
別に普段と作り方を変えたわけではなかったけど、おいしかった。
今まで味がしなかったわけではないけど、久しぶりにおいしいと感じて、おかわりまでした。

顔に血液が戻ってきた感じで、ちょっと顔が熱かった。
鏡を見たら・・・、久しぶり過ぎて引きつってはいたけど、笑えていた。
ずっとニヤニヤ(笑)
退職時の時の、能面みたいな不細工な顔に血が巡って、表情筋がよみがえったみたい!

心もなんとも言えない気持ちになった・・・
久しぶり過ぎて、この感情の名前を忘れてた。
しばらく考えて・・・、あぁ、これ、嬉しいんだ!
久しぶりすぎてわからなかった!嬉しい!
こんな感情、何年ぶりだろう!
クリニックからは、かわいい受精卵たちの写真をもらった。
同じグレードでもみんな個性の違う、初めて見る我が子たちだった。
愛着が沸かないわけがない。

前述したように、まだ移植もしていないわけで、どうなるかはわからない。
ここから妊娠しないとなると、流産するか、着床しないか。
特に、受精に問題がなくて、胚盤胞達成率もグレードも良くて、今まで1度も妊娠しなかったとなると、手術した卵管に問題がまだ残っていたか・・・
あるいは着床に大きな問題を抱えているのか・・・
あるいは、その両方か。
不育症に関しては妊娠経験すらないので、未知の領域。

それでも、間違いなく、私に”嬉しい”の感情を取り戻してくれたのはこの12人の子たちであって、このときのこの感覚は一生忘れないと思う。

なぜか、大事なときにたらスパ食べてたし、泣きながら食べたこともあるけど、結局この日の事が頭に強く残っていて、ブログタイトルにしました^^

***

幸いにも私は、妊娠・出産することができた。
ここで、問題となってくるのが受精卵の破棄。
できるわけないよね。
命や資源に限りがないのなら、全員産みたい。政治と同じく全員は救えない。

でも、限りがあるから必死になれるのかもしれない。


コメント

タイトルとURLをコピーしました